研究概要 |
H14-15年度基盤研究B「カルシウム感受性蛍光タンパクを用いた体内時計ニューロンの超長期局所カルシウムダイナミックスの解明」(研究代表者 池田真行)において明らかにされた視床下部視交叉上核(SCN)ニューロン内の約1日の細胞質Ca^<2+>濃度のリズムの発生機構を、(i)遺伝子レベルおよび(ii)関与する細胞内小器官についてさらに詳細に解析を進めた。その結果、既知の時計遺伝子であるmPer1/mPer2のアンチセンスmRNAは、培養SCNニューロンの活動電位発火頻度リズムや、サーカディアンCa^<2+>濃度リズムに有意な効果を及ぼさないことが明らかとなった(Sugiyama T, Toshioka T & Ikeda M,Biochem.Biophys.Res.Commun.2004)。一方で、Bmallの強制発現実験ではCa^<2+>濃度リズムが一時的抑制されること(未発表)や、Cry1/Cry2ダブルノックアウトマウスでは、アリズミックなCa^<2+>濃度リズムを観察されること(未発表)が明らかとなりつつある。これらのことは、現時点で報告されている「時計遺伝子群」がサーカディアンCa^<2+>濃度リズムの形成にとって一様に働いていないことを示唆するものである。さらに、細胞内小器官内のCa^<2+>濃度リズムを観察する第一歩として、視床下部視索前野核ニューロンのミトコンドリアにPericamセンサーを導入し、Ca^<2+>イメージングを行なった結果は、2005年2月号(Vol.130)のNeuroscience誌のカバーページを飾っている(Ikeda M.et al.,Neuroscience 2005)。ミトコンドリアターゲティングPericamセンサーをSCNニューロンに導入する実験もすでに開始している。
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