研究課題
本研究は、哺乳動物の体内時計中枢として働くことが知られる視床下部視交叉上核(SCN)ニューロンが、どのように生理学的活動リズムを形成するのかを、特に、細胞内Ca^<2+>濃度変動と時計遺伝子群の働きを中心に解明することを目的としている。これまでの研究成果をまとめると、(1)時計遺伝子mPer1/mPer2のアンチセンスmRNAでは生理活動リズムに大きな影響を与えないこと(2)時計遺伝子Bmal1のネイティブ体、ドミナントネガティブ体の強制発現によりサーカディアンCa^<2+>濃度リズムが大ぎく抑制されること、(3)Bmal1転写制御に係わるRORα欠損マウスでは、Ca^<2+>濃度リズムが大きく乱れること、(4)時計遺伝子Cry1/Cry2のダブルノックアウトマウスではCa^<2+>濃度変化は持続するが無周期であることである。'なお、成果1については論文発表済みであり、成果2-4については論文投稿準備中である。これらの成果は時計遺伝子の多くがSCNニューロンの生理活動リズム形成にとって不可欠であることを決定づける研究成果といえる。しかし、(1)についての予期せぬ結果は、更なる解析が必要であることを示唆している。Per遺伝子は、そもそもショウジョウバエにおいて見つかった遺伝子であり、哺乳動物の相同性遺伝子であるmPer1-3が、細胞レベルの生理活動リズム形成において同じ機能を有するのかどうかを検討する必要があるものと思われる。そこで現在、ショウジョウバエの体内時計細胞の培養や、Yellow Cameleonによる長期細胞内カルシウム濃度測定、あるいはPer-luciferase発光の画像解析を可能とする実験系を立ち上げ、継続的に研究を発展させている。
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The FASEB Journal 22
ページ: 1479-1490