研究課題
基盤研究(B)
本研究の主な目的は、体内時計中枢である視床下部視交叉上核(SCN)ニューロン内に見られる細胞内カルシウム濃度の約24時間リズム(サーカディアン・カルシウムリズム)の形成過程において、時計遺伝子の制御機序を明らかにすることである。そこで、視床下部スライス培養にカルシウム感受性蛍光タンパク質遺伝子を発現させ、以下に示す様々な解析を行った。時計遺伝子mPer1およびmPer2のアンチセンスmRNAを長期間培養液中に投与したが、サーカディアン・カルシウム濃度リズムや活動電位の自発発火頻度リズムに有意な効果は及ぼさなかった。行動リズムを恒暗条件下で無周期にすることが知られる時計遺伝子Cry1/Cry2ダブルノックアウトマウスでは、サーカディアン・カルシウム濃度リズムの振動(100-500nM程度の振幅)は持続するものの、無周期になっていることが明らかになった。一方で、その他のクラスの時計遺伝子であるBmal1の強制発現やBmal1ドミナントネガティブ体の強制発現を行なったところ、サーカディアン・カルシウム濃度リズムが劇的に抑制されることが明らかとなった。さらに、Bmal1の転写制因子として働くRORαの欠損マウスにおいてもサーカディアン・カルシウム濃度リズムが劇的に抑制されることが明らかとなった。これらの結果は、ある特定のクラスの時計遺伝子が細胞生理活動リズムの形成に重要な役割を担っていることを示唆している。本研究ではさらに、体内時計光同調機構や、睡眠発現調節機構に関する研究も展開した。特に、摂食調節ぺプチド受容体の一つであるCCK-A受容体の欠損マウスでは、光による時計遺伝子mPer1/mPer2の発現が有意に抑制されることが明らかとなったが、この効果は、網膜アマクリン細胞におけるCCK-A受容体の発現に起因することが明らかとなった。
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