研究課題
本研究開始時(平成16年度)より、分化刺激を受けたオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)において、特異的に発現増加が見られる未知遺伝子R71の解析を行って来た。R71特異的抗体を作製し、さらにR71ノックアウトマウスを作製すべく、ノックアウトコンストラクトの作製を済ませ、ES細胞で相同的組み替えを行い、クローンのスクリーニングまで進めていたが、テキサス大学ベイラー校のPereira-Smith, O.M.らに先を越される結果となった(Mol.Cell.Biol.24(19),8366-8373)。彼らの報告を見るとR71ノックアウトマウスは正常に発生し、取り立てて顕著な異常は見られない。また、生殖能力のあるホモ欠損体の子孫を産生し、産子数も野生型と変わりなかった。産子の雄雌比も1:1であった。また肝心のオリゴデンドロサイトの発生であるが、脳も脊髄も解剖所見上異常を認めず、運動特性も正常であったので、R71遺伝子はオリゴデンドロサイトの発生・分化に何らかの関与をしてはいるが、必須の遺伝子ではないと思われる。このようにR71遺伝子については、このように残念な結論が出たので、今一度原点に立ち返って時間依存的にOPC内で発現の変化が見られる遺伝子をDNA chipを用いて網羅的に検索する事にした。生後7日齢のSDラットの視神経より純化培養したOPCから培養開始4日目、8日目、10日目の時点でmRNAを抽出しPCRで増幅した後にcRNA合成を行いDNA Chip解析を行った。解析した遺伝子は31,500である。その結果、8日目、10日目の両方で4日目サンプルより発現量の増大が2倍以上見られた15遺伝子、それとは逆に8日目、10日目の両方で4日目サンプルより発現量の減少が2倍以上見られた11遺伝子を同定する事に成功した。
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