研究課題/領域番号 |
16300110
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山口 晴保 群馬大学, 医学部, 教授 (00158114)
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研究分担者 |
佐々木 惇 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80225862)
岩下 淑子 高齢者研究, 福祉振興団体・都老人研生体膜機能研究グループ, 副参事研究員 (50111498)
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60239605)
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / 脂質ラフト / コレステロール / アポリポ蛋白E / 認知症 |
研究概要 |
βタンパクのオリゴマーがβアミロイド沈着初期と関係があるかどうかを探るため、びまん性老人斑の出現しているヒト脳組織を用いてβタンパクとβタンパクオリゴマーの2重免疫染色を電顕切片上で行う研究を継続した。また、βタンパク前駆体(APP)の切断が何処で行われるのか、ラフトとの関係はあるのかを検討した。APPがBACEで切断されてできるフラグメントのC末端特異抗体を作成し、BACE切断の分泌型APP(sAPPbeta)の局在を免疫電顕で検討した。正常ヒト脳やマウス脳を固定後、ビブラトームで薄切し、免疫染色後エポンに包埋し、超薄切片を観察した。すると、sAPPbetaの局在は、ラフトのパタンとは大きく異なり、星形グリアの小さな突起内にびまん性に分布していた。このことは神経細胞の表面でBACEが働き、切断されて放出されたsAPPbetaは、直ちに星形グリアに取りこまれるものと考えられた。 分担研究者の岩下は、NPC欠損に伴うβアミロイドの蓄積へのラフトの関与を調べる目的で、細胞表面ラフトの異常を解析した。NPC1欠損CHO細胞等ではコレステロールに富むラフト様膜小胞の細胞表面への蓄積と異常排出が起きるのに対して、神経細胞のNPCモデル(薬剤処理したSH-SY5Y細胞)では細胞表面ラフトが減少し、異常排出は検出されなかった。細胞種により異なる結果が得られた事から、これらの細胞表面ラフトの異常はβアミロイド蓄積につながる変化ではないと考えられた。 分担研究者の森は、研究分担者である森が研究拠点とする動物実験施設において、ApoEヒト化マウスおよびTg2576APPトランスジェニックマウスのコロニー維持を含めた飼育管理を行い、最終年度の研究遂行にも十分な安定した動物供給体制を整備した。また、S100産生阻害を介してアストロサイト活性化を抑制する薬剤(arundic acid, (R)-(-)-2-propyloctanoic acid)を用いて、ApoE4アイソフォーム特異的な脳損傷増悪病変に、アストロサイト活性化の異常亢進が関与していることを明らかにした。
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