研究課題/領域番号 |
16300112
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40221098)
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研究分担者 |
鈴木 諭 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90294917)
佐々木 健介 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80380616)
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
清原 裕 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80161602)
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / 脳血管性認知症 / レビー小体型認知症 / 神経原線維型認知症 / 病理解剖 |
研究概要 |
久山町研究症例の第3集団(1988年〜)で2001年3月末までに死亡した195症例の認知症剖検症例の神経病理学的解析(老人斑、神経原線維変化、レビー小体、梗塞巣、大脳白質の変性の定量化)を行った。この定量的解析結果と非認知症症例のデータとを比較し、以下の結果を得た(第47回日本老年医学会にて発表)。1)年齢調整した男女込みの認知症の病型別頻度は、アルツハイマー病ADが最も多く、ついで脳血管性認知症VD、レビー小体型認知症DLBの順であった。2)男女別に見ると男性はVD、AD、DLBの順に、女性はAD、VD、DLBの順に多かった。3)AD、DLBは男女とも年齢の増加とともに頻度が上昇し、ADは男性に比べ女性がいずれの年齢でも高いが、DLBに男女差はなかった。4)VDでは85歳未満は男性の頻度が高いが、85歳以上になると男女差はなくなった。5)上記の傾向は、認知症発症時および死亡時ともに同様であった。 次に一般住民における神経原線維変化NFTの頻度を明らかにし、神経原線維型認知症SD-NFTの診断基準を再評価した。SD-NFTが認知症症例の約5%にみられ、4番目に多かった。SD-NFT(8例)と死亡数年以内の長谷川式痴呆スケールが得られている非認知症症例約50名の病理変化(大脳皮質の神経細胞数とグリオーシス、老人斑とNFTの出現数、血管性脳病変の程度)を定量化し、両者の違いを統計学的に検討した。SD-NFTではCA1に他の海馬領域に比べてNFTの出現頻度が最も高く、100倍視野で平均115.4個であった。ADでは80.1個で、非認知症高齢者では37.2個であり、SD-NFTとADの間にはオーバーラップが見られた。 現在は剖検症例の増加に対応して認知症症例の詳細な解析を追加するとともに、ADの危険因子としての糖尿病の意義を病理所見との相関があるかを検討している。
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