研究課題/領域番号 |
16300112
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40221098)
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研究分担者 |
鈴木 諭 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (90294917)
佐々木 健介 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (80380616)
飯田 三雄 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (00127961)
清原 裕 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (80161602)
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キーワード | 認知症 / レビー小体型認知症 / アルツハイマー病 / 病理診断基準 / α-シヌクレイン / 病理解剖 |
研究概要 |
レビー小体型認知症の臨床神経病理学的解析を行い、診断基準の妥当性を検証した。久山町認知症研究のデータベースから、認知症連続剖検205例を用いて、レビー小体型認知症(DLB)の新旧の診断基準を比較検討した。病理診断は抗α-シヌクレイン抗体を用いた免疫染色により、レビー小体の出現を半定量化して評価した。新しい病理診断基準(2005年改訂)では、マイネルト基底核や扁桃体など新たに検討すべき部位が追加されたため、当該症例の全てについて必要な追加実験を行なった。また久山町研究室の内科医師らにより後方視的に集積された臨床症状のデータセットを用いて、今回拡充された病理学的データとつき合わせて新基準の妥当性を検討した。旧来のDLBの診断は病理学的には感度は高いが特異度が低く、臨床診断との乖離があることが指摘されていた。新しい病理診断基準では、アルツハイマー病(AD)病理変化とLB病型との組み合わせにより、DLB likelihoodをNo、Low、Intermediate、Highの4段階に分類し、合併するアルツハイマー病(AD)病変の程度が強い症例を除外することが提唱された。その結果、DLBと診断された症例は旧診断時の28.8%から15.6%まで絞り込まれた。また、DLBの中核症状である症状の変動、幻視、パーキンソニズムの出現率とDLB likelihoodの関係を検討したところ、Low likelihoodとIntermediate likelihoodの間で、3つの中核症状の出現率が大きく上昇した。このことから、Intermediate likelihood以上をDLBと診断することで、新診断基準の妥当性が確認された。しかし出現率が高かったパーキンソニズムでも34%にとどまり、今後さらに臨床診断の感度を上昇させるためには脳機能SPECTなどの機能画像診断が必要であると考えられた。
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