研究課題/領域番号 |
16300113
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究分担者 |
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (60230108)
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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キーワード | TROY / TNFRスーパーファミリー / SVZ / RMS / 神経幹細胞 / アストロサイト / GFAP / gliogenesis |
研究概要 |
成体マウス脳を9領域に分けてmRNAを抽出し、TROYの局在をNorthern blot法により検討したところ、特に嗅球、線条体、海馬、前脳に強く発現していた。in situ hybridization法による検討では、脳室下帯(SVZ)及びrostral migratory stream (RMS)の細胞に強く発現していた。SVZ及びRMSは成体においても神経新生が盛んで、RMSはSVZにおいて神経幹細胞(type B cell)から分化した神経前駆細胞(type A cell)が嗅球へ遊走する経路である。SVZではGFAP陽性の神経幹細胞(type B cell)からEGFR陽性のtransit amplifying precursor cells (type C cell)が分化し、更にtype C cellからPSA-NCAMやTuJ1陽性の神経前駆細胞(type A cell)が分化し、type A cellは嗅球へ遊走して介在神経細胞に分化する。2重免疫染色を行ったところ、SVZ及びRMSのTROY陽性細胞の多くはGFAP陽性で、一部EGFR陽性であったが、PSA-NCAMやTuJ1との共存は認めなかった。従ってTROYはSVZ/RMSの神経前駆細胞(type A cell)に分化する前段階の、神経幹細胞(type B cell)からtransit amplifying precursor cells (type C cell)に発現していると考えられる。一方大脳皮質や海馬を含む様々な領域のグリア様細胞にもTROY mRNAの中等度の発現が認められるため2重免疫染色を行うと、GFAP及びS100と共存したが、NeuNやCNPaseとは共存しなかった。これらの結果より、TROYは成体脳において神経細胞系譜ではなく、より未分化な前駆細胞及びアストロサイトに発現しており、神経新生よりグリア新生に関与している可能性が示唆される。
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