研究課題/領域番号 |
16300118
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 和明 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (30094452)
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研究分担者 |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
西村 伊三男 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (70362621)
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キーワード | Necdin / MAGEファミリー / ニューロン / 神経栄養因子 / 分化 / アポトーシス / ゲノムインプリンティング / プラダー・ウィリー症候群 |
研究概要 |
Necdin/MAGEファミリー蛋白質のニューロン死(アポトーシス)に及ぼす作用について解析し、以下の結果を得た。 1.Necdinの神経栄養因子シグナル伝達系に及ぼす作用を検討するため、神経成長因子NGFの二種の受容体であるTrkAとp75への結合を調べた。Necdinは両者に結合して、NGFによって惹起される細胞内シグナル伝達を増強した。 2.Necdin遺伝子欠損マウスを作製し、NecdinのNGFシグナル伝達系へのin vivoでの作用を検討したところ、脊髄後根神経節のNGF依存性ニューロンのアポトーシスが増加していた。これらのマウスでは生後に熱刺激に対する痛覚感受性の低下が起こっていた。 3.Necdinはアポトーシス誘発作用をもつMAGE蛋白質であるMAGE-D1と結合した。また、NecdinはMAGE-D1との結合を介してホメオドメイン蛋白質Dlx2と三者複合体を形成し、前脳GABA作動性ニューロンの分化を促進した。Necdin遺伝子欠損マウスでは、これらのニューロン数が減少していた。 4.Necdin遺伝子欠損マウスの小脳では、アポトーシス誘導因子E2F1の発現と顆粒細胞のアポトーシスが共に増加していた。 5.NecdinホモログであるショウジョウバエMAGEは複眼や中枢神経系に発現しており、その発現量をRNAiによって減少させるとアポトーシスを起こした。 以上の結果、NecdinおよびNecdin類似MAGE蛋白質はニューロンのアポトーシスを抑制することによってニューロン生存を維持していることが明らかになった。また、この性質は、Necdinの関与が推定されているゲノムインプリンティング疾患プラダー・ウィリー症候群発症の分子機構を知る上で重要な知見と考えられる。
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