研究課題
Etsファミリー遺伝子C42D8.4遺伝子の欠失変異体アリルtm866は、G蛋白質シグナリングに関わる分子AGS-3の変異アリルtm1859も持っていた。この変異体は、基本的な運動は正常であるが、餌のあるプレート上で自由に行動させても、狭い範囲でしか動かない。また、体の大きさが野生型より若干小さい。AGS-3はGoloco motifとTetratrico peptide motifを持ち、前者は三量体G蛋白質のαサブユニットに結合して、GiのGDIとして働くことにより、結果的にcyclic AMPカスケードを活性化することが知られていた。AGS-3は哺乳類では、コカインなどの薬物中毒の際に発現増加し、これを抑制することで中毒を軽減できることも知られている。ags-3変異体の表現型は、既知の感覚異常変異体che-2などと酷似しているがags-3変異体の場合には、信号伝達の低下という形で表現型を呈していると考えられた。che-2変異体の表現型は体が大きくなり、動きの範囲が広いegl-4変異体によって抑圧されることが知られている。EGL-4はcyclic GMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)であることが知られている。ags-3変異体の表現型もegl-4変異体によって抑圧を受けた。線虫AGS-3蛋白質は線虫EGL-4蛋白質と結合することが明らかになった。さらに、各々のマウスホモログを用いて解析を行ったところ、脳に高発現するタイプのマウスAGS-3ホモログはマウスPKGと結合活性があるが、ユビキタスに発現しているAGS-3ホモログはPKGと結合しないことが明らかになった。遺伝学的解析により、AGS-3は、PKGを抑制していることが明らかになったので、AGS-3の機能においては、cAMPカスケードのみならず、cGMPカスケードが極めて重要であることが示唆された。
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