研究課題/領域番号 |
16300130
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
黒見 坦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30009633)
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研究分担者 |
上野 耕平 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40332556)
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キーワード | シナプス小胞 / リサイクル / エンドサイトシス / アクチブゾーン / ノンアクチブゾーン / ショウジョウバエ / シナプス伝達 / 高頻度刺激 |
研究概要 |
本研究は、シナプス小胞の神経末端での存在様式、その移動、エンドサイトシス、リサイクル等の機構が、どのようなメカニズムによって制御されているか、シナプス信号伝達にどのように関与しているか、明らかにすることを目的とした。本年度(平成17年度)得られた結果は次のとおりであり、一部雑誌に発表した。 シナプス小胞は、神経刺激によるエキソサイトシスによって伝達物質を放出した後、エンドサイトシスによって、神経末端で、リサイクルされる。このエンドサイトシスが抑制されると、シナプス伝達はとまる。エキソサイトシスは、シナプスのactive zoneと呼ばれる部位で起こるとされているが、エンドサイトシスは、どこで起こるのか不明である。我々の結果-エンドサイトシスは、二つのCa2+拮抗薬で抑制される-ことから、二つのエンドサイトシスルートが存在していることが示唆された。第一のルートのエンドサイトシスは、protein kinase inhibitorで増強され、コレステロール薬、filipin、で影響されず、endophilin変異株でも変化無く、clathrin clusterも形成されなかった。これに対し、第二のエンドサイトシスは、protein kinase activatorで増強され、filipinで抑制され、endophilin変異株では、消失していた。clathrin clusterがnon-active zoneに形成された。エンドサイトシスに必須のdynamin clusterは、第一のエンドサイトシスでは、active zoneで、第二のエンドサイトシスのときは、non-active zoneで形成された。高頻度刺激によるシナプス伝達は、第一のエンドサイトシスを増強すると、はじめ増強、後抑制がみられた。これに対し、第二のエンドサイトシスを強めると、はじめ抑制、後増強がみられた。以上の結果より、高頻度の刺激によるシナプス伝達は、active zoneとnon-activezoneで起こるエンドサイトシスによるシナプス小胞リサイクルによって維持されていることがわかった。
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