研究課題
基盤研究(B)
本基盤研究では、線条体ではどのような動作原理で情報処理がなされているのか、大脳基底核で処理されて視床を経て戻ってきた情報は線条体にどのような影響をもたらすのかについて調べた。In vitroの神経回路の研究からは線条体のFS細胞と呼ばれる抑制性ニューロンが投射ニューロンを束ねて1単位の機能モジュールを形成しており、コリン作動性細胞とLTS細胞は広く機能モジュールを束ねていた。視床一線条体投射はこの中でコリン作動性細胞に入力する。コリン作動性細胞は線条体のストリオソームとマトリックスという二つのコンパートメントの境界部に位置することが多く、μオピオイド受容体を特異的に持つストリオソームではストリオソーム内のエンケファリンを放出する投射ニューロンの活動により特異的に抑制性シナプス後電位を抑制するため、コリン作動性細胞が発火しアセチルコリンを放出する。このアセチルコリンはFS細胞をニコチン受容体の活性化により興奮させるので、FS細胞が統御するマトリックス内の機能モジュールが抑制を受けることがわかった。これらのことから明らかになったことは次のとおりである。コリン作動性細胞には視床からの指令が入るが、運動学習時にはドーパミン細胞の興奮と同期して発火が抑制されるので、その投射領域ではアセチルコリンの放出が起こらず、ニコチン受容体は活性化されない。そのため、逆にその領域に限ってドーパミンの放出濃度は飛躍的に増加する。このとき、同時にFS細胞を介した投射ニューロンの抑制は外れており、皮質一線条体投射のグルタミン酸伝達はムスカリン受容体の不活化のために抑制が外れて大きくなるため、コリン作動性細胞の投射領域では可塑的変化が生じやすくなることが明らかとなった。
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