研究課題/領域番号 |
16300137
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
上山 義人 東海大学, 医学部, 教授 (30072408)
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研究分担者 |
中村 雅登 東海大学, 医学部, 教授 (00164335)
山崎 等 東海大学, 医学部, 助教授 (20191273)
大西 保行 東海大学, 実験動物中央研究所, 研究員 (70201382)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | NOGマウス / 微小環境 / 血管新生 / 遠隔転移 / NK細胞 |
研究概要 |
がんの発生・進展には腫瘍細胞自身の形質はもとより、腫瘍が発生、発育する場が重要な役割を演じている。本研究は、がんの発育・進展に関与する場をがん進展・誘導微小環境ととらえ、ヒトにおけるがん誘導微小環境を総合的に理解・解析するための再現性と安定性に優れたin vivoモデル動物を開発する目的で行われた。 まず、難治性のヒト血液がんの一種である多発性骨髄腫培養細胞株を移植し、これに対するヒトNK細胞の作用を解析できる実験系の開発を行った。さらに、ヒト末梢血単核細胞よりCD56抗原陽性細胞(NK細胞分画)を集めNOGマウスに移植したマウスにヒト骨髄腫細胞を移植し腫瘍形成能を評価した。また、腫瘍部における浸潤ヒト免疫細胞の割合を免疫組織学的に解析した。その結果、ヒト骨髄腫細胞はNOGマウス中で骨破壊性の病変を形成し、ヒト病態モデルとして有用であることが判明した。また、この系を用いることによって新しい治療法の開発が期待できることが判明した。 また、NOGマウスにヒト悪性黒色腫細胞株A375/トロンボスポンジン2(TSP2)遺伝子導入株を移植し、遠隔転移能を解析し、間質蛋白分解酵素の活性、血管新生抑制能その他を検討した。MMP/MSPの遺伝子発現および酵素活性はTSP2遺伝子導入株で充進していることが確認されたが、in vitro浸潤能は有意に低下していた。また、NOGマウスin vivo肝転移実験では、TSP2遺伝子導入株で有意に転移が抑制された。悪性黒色腫の遠隔転移にTSP2発現が間質基質の分解とは異なる機序で抑制性に関与していることが示唆された。本研究によって悪性黒色腫の浸潤・転移はがん微小環境を巧妙に変化させることで制御できる可能性が示唆された。 今後このモデルを用いて癌微小環境を制御できる新薬などの探索を行い、これらモデル動物を用いたがんの予防と治療の評価システムを確立し、創薬研究に有効な動物実験系の確立へとつなげたい。
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