研究課題/領域番号 |
16300141
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研究機関 | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
研究代表者 |
松田 潤一郎 独立行政法人医薬基盤研究所, 生物資源研究部, 研究リーダー (60181731)
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研究分担者 |
鈴木 治 独立行政法人医薬基盤研究所, 生物資源研究部, 主任研究員 (70235935)
滝本 一広 国立感染症研究所, 動物管理室, 研究員 (70280766)
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キーワード | 糖脂質 / ガングリオシドーシス / β-ガラクトシダーゼ / リソゾーム病 / 疾患モデル / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 糖鎖遺伝子 |
研究概要 |
シアル酸を含む酸性スフィンゴ糖脂質であるガングリオシドは、細胞膜成分として生物学的に重要な役割を果たしている。一方、糖脂質の分解不全によって、多くのリソゾーム性糖脂質蓄積症が知られており、なかでもGM1ガングリオシドーシスは典型例であり、酸性β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)欠損によりガングリオシドGM1が蓄積する神経変性疾患である。私たちはすでにβ-Galノックアウト(KO)マウス、ヒト変異β-Gal遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウス、さらにGM1合成酵素遺伝子導入Tgマウスなどのモデルマウスを作製している。本研究では、各種GM1ガングリオシドーシスモデルマウスの病態解析と、神経変性の発症機序解明を目指した。β-Gal KOマウスへGM1合成酵素遺伝子を導入したKO/GM1SyTgマウス(#129)の脂質解析を行ったところ、脳ではKOマウスに比べガングリオシドGM1蓄積の絶対量の増加は認められないが、ガングリオシド中のGM1の比率がやや増大していた(70%->79%)。肝臓ではGM1の蓄積もみられるが、アシアロGM1の蓄積が顕著であった。一方、KO/GM1SyTgマウス3ラインの寿命と神経症状は、KOマウスと比べて顕著な差異は認められなかった。GM1ガングリオシドーシスの神経変性機構の解明のため、β-Gal KOマウス8日齢の脳を用いた解析を行ったところ、神経栄養因子受容体であるTrk受容体のリン酸化がKOマウス大脳、中脳、小脳において著しく低下しており、KOマウス脳ではTrk受容体に結合しているGM1の量が著しく減少していた。さらに、Trk受容体下流のPLCγを介したカルシウムシグナル経路も低下していた。神経細胞の生存・維持に重要である神経栄養因子受容体シグナルの異常がGM1ガングリオシドーシスにおける神経変性を導いている可能性が示唆された。
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