研究概要 |
本研究では,細胞への高効率・高精度な遺伝子導入や細胞の機能解明を行うための"オンチップ細胞サージェリーシステム"の開発を目的としている.本年度は,提案するシステムのキーデバイスである"圧電駆動型マイクロ細胞培養チップ"および"ナノニードルアレイ"作製のための加工技術について基礎的な検討を行った. 1.圧電駆動型マイクロ細胞培養チップの開発 スパッタ法およびゾル-ゲル法を用いて,アクチュエータとして利用するPZT圧電薄膜の形成実験を行った.スパッタ法では,膜中のPb量を制御することで(111)配向性をもったPZT単相膜の形成を可能とした.しかし,薄膜表面にマイクロピットが形成されアクチュエータとして利用するにはさらに検討が必要である.一方,ゾル-ゲル法では,アニール条件を最適化することで膜中からのPbの蒸発量を制御し,表面性状の良好なPZT単相膜の形成を可能とした.さらに,熱分解条件を最適化し,PZT薄膜形成時のスループットの大幅な向上を図った.また,ポジ型フォトレジストをエッチング用のマスクとし,PZT薄膜の高精度パターニングを実現した. 2.ナノニードルアレイの開発 ナノニードルアレイを作製するために必要となるSiのドライエッチング技術を検討した.高アスペクト比のSi深穴加工のためのDeep RIEおよびXcF_2ガスを用いたSiの等方性エッチングに関する基礎実験を行い,エッチング条件を明らかにした.また,マイクロ流路およびスルーホール形成のためのガラス基板の高精度ブラスト加工技術を開発した.厚膜ネガ型フォトレジスト(SU-8)を鋳型に用いてシリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン,PDMS)のマスクパターンを形成することで,線幅200μm,深さ150μmのマイクロチャネルおよび加工深さ500μm,側壁角度82°のスルーホールの形成が可能であることを示した.
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