研究課題
基盤研究(B)
周囲環境との相互作用を内部状態に反映させていく「可塑性」が生体情報処理の大きな特徴と考えられている。しかしながら、LTP, LTD(長期増強.長期抑圧)に代表されるシナプスの可塑性が、生体情報処理システムとしての機能を発現する"細胞集団の振舞い"にどのように反映されるのかはこれまでほとんどわかっていなかった。本研究では細胞集団の活動に対する時空間計測手法である電極アレイ法と、個々のニューロンを可視化した培養神経回路構成手法であるアガロースマイクロチャンバ法の組み合わせにより、「シナプス可塑性統合過程」の実験的観測を目指した。得られた研究成果は以下の2項目である。(1)電極アレイ基板上に形成したラット大脳皮質培養神経回路に対して異なる2点から時間的に相関を持たせた電気刺激を高頻度に印加することにより、誘発応答特性が変化することを見出した。高頻度相関刺激経験後は、時間的に先行する刺激に対する応答に、他方の刺激に対する応答成分が含まれる場合がある。逆のケースは観測されなかった。この結果は神経回路活動レベルでの「連想」的な振る舞いにつながる現象の可能性があると考えている。(2)パターン化培養神経回路形成手法の新たな可能性につき検討した。具体的には、細胞接着性の基板上に形成した非接着性薄膜を部分的に除去する、細胞非接着性の基板上に部分的に細胞接着性の薄膜形成を行う、という2つの視点から研究を進めた。前者については、カオトロピック効果を利用したアガロース薄膜のエッチングという手法を考案し、パターン化神経回路形成を確認した。後者についてはスプレーパターニングによる微小培養領域形成、単一細胞に近い形での細胞培養手法を確立し、細胞電気活動計測に成功した。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (17件) 図書 (2件)
Arch. Ita. Biol. 127
Arch. Ita. Biol. 127(in press)
IEEE Trans. Nanobiosci. 5
ページ: 54-65
in H.Kambara, T.Matsunaga, M.Ueda Eds., Frontier of Quantitative Analysis of A Single Cell
ページ: 175-187
in Wan-Li Xing and Jing Cheng Eds., Frontiers in Biochip Technology (Springer-Verlag)
ページ: 88-98
Neurosci. 134
ページ: 439-448
ページ: 425-437
豊田研究報告 58
ページ: 71-77
Lab Chip 5
ページ: 241-247
Rep. Toyota Phys. Chem. Res. Inst. 58
IEE Proc. Nanobiotechnol. 151
ページ: 116-121
J. Nanobiotechnol. 2
ページ: 1-8
Jpn. J. Appl. Phys. 43
ページ: L403-L406