研究課題/領域番号 |
16300153
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
山岡 哲二 国立循環器病センター(研究所), 生体工学部, 部長 (50243126)
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研究分担者 |
村上 章 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60210001)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 日本心臓血圧研究所, 助手 (20297469)
新岡 俊治 東京女子医科大学, 日本心臓血圧研究所, 教授 (20192122)
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キーワード | 造血幹細胞 / 血管再生 / ポリ乳酸 / 表面修飾 / CD34 / スキャホールド / 骨髄細胞 / 細胞表面レセプター |
研究概要 |
造血幹細胞は、血管再生への応用が期待されている。現在、モノクローナル抗体を用いた磁気ビーズ法や、蛍光剤を用いたFACS法により骨髄細胞から造血幹細胞のみを取り出して利用する試みがなされているが、操作が困難であり、必ずしも臨床に適した方法ではない。そこで、造血幹細胞を選択的に吸着する生体吸収性スキャホールドを開発することで、採取した骨髄細胞を直接播種して、移植できる治療システムの構築を目指した。 昨年度、ポリ(L乳酸-co-ε-カプロラクトン)のチューブ状多孔質体をスキャホールドとして用い、その表面を1NのNaOHで30分間加水分解することで表面にカルボキシル基を導入した後に、抗ヒトCD34マウスIgG抗体を固定化することに成功した。今年度は、この抗体修飾スキャホールド上に、CD34抗原マーカーをもつヒト白血球由来のKG-1a細胞と、CD34陰性のHL60細胞の1:1懸濁液を通液したところ約80%のKG-1a細胞濃縮効果を示した。さらに、実用に近いシステムとしてビーグル犬の骨髄細胞から骨髄単核球のみをFicol法により採取し、この単核球成分をCFDASEで染色した後に、30mlのRPMI溶液に希釈して細胞濃度を1.65×10^8個/mlに調製して流速2.5ml/minで播種した。このスキャホールドの切片を作製後、PE(phycoerythrin)で標識された抗イヌCD34マウスIgG抗体で染色した。切片像から、骨髄中に約2%弱しか存在しないCD34陽性細胞が、20%程度まで濃縮されていることが明らかとなった。 培養細胞系に比較して、効率が低下しているのは、骨髄中に存在するタンパク成分や脂質などにより非特異的な抑制がかかっているものと思われる。スキャホールド状での抗体密度の低さが一因と考えられるため、さらに、高効率で抗体を固定化する手法を検討する必要がある。
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