研究課題/領域番号 |
16300159
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90215187)
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研究分担者 |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (50302774)
恵美 宣彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (30185144)
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 講師 (60324620)
児島 千恵 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (50405346)
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キーワード | 遺伝子治療 / ベクタ / リポソーム / ナノバイオ / ナノ医薬 / ドラッグデリバリーシステム / リポプレックス / 遺伝子導入 |
研究概要 |
これまでの研究でpH感受性膜融合リポソームであるサクシニル化ポリグリシドール(SucPG)修飾リポソームとリポプレックスとの複合体が、種々の細胞に対して高い遺伝子導入効率を示すことを明らかにした。本年度は、その活性の向上を目的として、その構成要素であるリポプレックスの構造とそのSucPG修飾リポソームの複合化による活性の向上について検討した。アミジノ基を極性基とし、2本の種々の鎖長のアルキル基を疎水基とするカチオン性脂質TRXを用いてリポプレックスを調製し、さらにSucPG修飾リポソームとの複合化を行った。HeLa細胞に対するTRXリポプレックスの遺伝子導入活性はその疎水性基に強く依存し、ドデシル基およびペンタデシル基のときにもっとも高い遺伝子導入活性を示した。また、これらのリポプレックスを用いてSucPG修飾リボソームとの複合体(SucPG複合体)を調製し、その活性を調べたところ、ペンタデシル鎖やオクタデシル鎖をもつTRXのリポプレックスを用いたときに複合体は高い活性を示すが、それよりも鎖長の短いTRXのリポプレックスを用いて調製した複合体は、低い活性しか示さなかった。このことは、高い活性を示すSucPG複合体を得るためには、リポプレックスを構成するカチオン性脂質を適切に選択する必要があることを示している。さらに、含免疫療法への応用を目指して、その中心的な役割を果たす樹状細胞への遺伝子導入について検討した。マウス樹状細胞由来のDC2.4細胞に対して、SucPG複合体は、リポプレックスに比べて4倍程度高い遺伝子導入効率を示した。しかし、HeLa細胞に比べて、その遺伝子発現効率は1/100程度であり、その活性のさらなる向上が必要であることがわかった。
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