研究課題
本研究では、材料表面に親水性高分子の周密ブラシ構造を構築した後に、微細加工技術を用いたナノ加工を行うことによってパターン化スフェロイドを作成する技術について詳細な検討を行った。前年度までの研究では、まず、細胞非接着性領域を効率的に形成させる手法として、従来より研究してきた親水性連鎖にポリエチレングリコール(PEG)を有するブロック共重合体の物理吸着法ではなく、化学的に安定なPEG表面を構築するため、片末端にメルカプト基を有するPEGを金表面上に固定化した。このような表面に微細加工を施すことによって細胞の接着性領域をマイクロオーダーでアレイ状に形成し、スフェロイドアレイを安定に培養できる最適条件を決定した。一方、スフェロイドパターニングの長期安定培養を目的とした場合、メルカプト基による単点型の金修飾では大気中室温下、高分子修飾表面の劣化によって細胞パターンの長期維持が不可能であることが問題となった。そこで、ピリジンユニットの多点吸着によって長期安定な基板修飾を可能とするPEG-ポリピリジングラフト共重合体を合成した。本目的を達成するためのグラフト共重合体の必要条件は、金・銀などの金属表面や半導体表面との多点結合によって、安定に表面固定化できるピリジン連鎖をバランス良く有することである。この要求を効率良く達成するため、methacryloyl-PEGマクロモノマーとメタクリロイルピリジンモノマーとの共重合比を任意に変化させた共重合体を合成し、PEGブラシ界面の長期間安定化を達成した。こうして作成したスフェロイドアレイ培養基盤は、機能性細胞の一つとして、肝細胞や軟骨細胞を選択するとスフェロイド形態と分化機能を長期に維持できることが判明した。安定界面のさらなる展開として、窒化シリコン基板表面にDNA、ペプチド、蛋白質などの生体分子を固定化する方法の最適化を行い、x線光電子分光(XPS)などを用いて分子配向性に関する研究を推進した。アミノシラン、チオールを末端に有する界面分子を用いて生体分子を固定化し、同時角度分解XPSにより表面からの深さ方向の情報を取得することにより、機能性界面分子の配向性を評価することができた。
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