研究課題/領域番号 |
16300167
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
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研究分担者 |
古薗 勉 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (30332406)
山岡 哲二 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (50243126)
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (10393216)
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キーワード | 水素結合 / 超高圧 / 遺伝子導入 / 非ウイルス性ベクター / 無機微粒子 / 高分子 |
研究概要 |
超高圧処理を用いた分子集合化技術による新しい遺伝子送達用複合体の開発について検討している。今年度は、(1)ポリビニルアルコール以外の高分子による遺伝子複合化の検討、(2)水素結合性を有する無機微粒子の応用、について検討を行った。水素結合性高分子として、デキストランをはじめとする多糖類、アクリルアミド、アクリル酸、ポリエチレングリコール、低分子量ポリハイドロキシエチルメタクリレートを用いて、DNAとの複合化を検討した。超高圧処理によって、明確な複合化が観察できたのはデキストランとポリエチレングリコールであった。これら2種の高分子について、プラスミドDNAとの複合化を検討したところ、溶解する溶液の状態によって、複合化が大きく影響されることが明らかになった。すなわち、精製した水に空気中の炭酸ガスがいったん溶解したものについては、複合化が阻害された。この結果から、ポリビニルアルコールよりも水素結合性が弱い高分子については、複合化の際の条件設定をより厳密に行う必要があることがわかった。無機微粒子の表面には水酸基を有するものがあり、これを利用したDNAの複合化についても検討を行った。水溶液中で分散性を保ち、かつ水酸基を表面に有する生体材料である、ハイドロキシアパタイトのナノメートルサイズの微粒子を作成し、複合化について検討した。DNAの複合化は比較的安定しており、細胞デリバリーの実験も行えた。プラスミドDNAの取り込みについては、十分と考えられる量が取り込まれていたが、コードタンパク質の発現量は低かった。これらの結果より、DNA複合化の際の条件の精緻な検討と、細胞内に取り込まれた後の核への移行について、新しい機構を組み込む必要があると考えられた。候補物質としては超高圧処理でも構造が影響を受けない、低分子ペプチドを考えている。
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