超音波法による臨床検査診断法の応用は全身広範囲にわたっており、その臨床的意義の大きさは万人の認めるところである。また、最近では超音波造影剤を用いて心臓内腔、血管内腔、心筋、肝癌などの造影による診断法が発達してきた。また、超音波造影剤の利用は、単に造影剤であるマイクロバブルからの反射エコーを捕らえるのでなく、バブルを超音波により破砕することにより造影効果を得ることも行われている。その一方で、超音波を用いた治療法が古くから行われてきていた。最近では、遺伝子導入にウイルスベクターを用いずに超音波を用いる手法も開発されている。このような現状を見たときに、超音波造影剤の影響を調査することは重要な研究である。今や手放すことができなくなっている超音波造影法を効果的に利用するためにも、造影剤と超音波の生体作用を調べる必要があると考えて、一連の研究を開始した。 まず、肝のクッパー細胞への影響を調査する目的で行った実験で、確かにクッパー細胞にある種のバブルが取り込まれることが明らかになった。しかし、肝細胞ならびに肝類洞の内皮細胞などへの影響が起こることも明らかになった。そして、脳内スカベンジャー細胞をターゲットとして調査したところ、同細胞の内部における変化が監察されたことから、今後さらに、超音波造影剤の影響についての見当が必要であると考えられた。
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