インターベンション治療後のシース抜去孔の止血閉止法の開発が待望されている。研究者は、レーザ溶着原理を用いた低侵襲なシース抜去孔閉止法を提案し研究した。 2004年度 血管レーザ溶着に関するパラメータを経時的に計測できる実験系を構築し、シース抜去孔閉止に適した条件を実験的に検索した。摘出ブタ頸動脈内を生理食塩水で加圧し、半導体レーザ(波長810nm)を光ファイバーで伝送し、自動ステージを用いて一定速度で抜去を行いながら、ICG染色したシース穿刺部分の血管にシース内より照射した。圧力、温度等はデジタルペンレコーダで計測した。シース抜去速度レーザ出力が50μmls、0.75Wの時最も良い溶着が得られた。データの処理・記録にはパーソナルコンピュータを用いた。 2005年度 持続的に動脈血圧が印加できる装置を付加したin vitroシース抜去孔モデルを用意した。細径血管内視鏡での血管内腔からの観察を併用した。従来検討している方法にて、外膜溶着により抜去孔が最大97%縮小し、レーザによるシース抜去孔止血の実現可能性が示された。血管壁の温度計測および、分光蛍光光度計計測により、コラーゲン溶着が原理であることが分かった。ブタの心筋、大動脈、血液を用いて光学的ex vivoモデルを作成し経ファイバー的に後方散乱光スペクトル計測を行ったところ、血管壁位置を判別できた。 2006年度 本法の安定した封止達成を目的とし、ファイバー先端部分からの光学計測データによりレーザ照射のフィードバック制御を行うシステムを構築した。閉止面積の大きな溶着を行えるように、ファイバー側方への光強度を増加させるような先端形状を検討・製作した。後方散乱光を用いたICG染色程度測定・組織判別の検討、およびICG脱色を用いた温度制御の可能性を検討したところ、60℃付近の温度モニタとしてICG脱色を観測するのは、感度上不可能であることが分かった。
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