研究課題/領域番号 |
16300179
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上月 正博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70234698)
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研究分担者 |
金澤 雅之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60282050)
南 尚義 東北大学, 病院・講師 (80333821)
伊藤 修 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00361072)
佐藤 寿伸 東北大学, 病院・助教授 (50312583)
高木 理彰 山形大学, 医学部附属病院, 助教授 (40241707)
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キーワード | 慢性腎不全 / 低蛋白食療法 / 長期的運動 / ラット / 糸球体硬化指数 / 腎皮質間質容積率 / 糸球体ED-1発現細胞数 / AngII受容体拮抗薬 |
研究概要 |
部分腎摘慢性腎不全モデルラットに対する長期的運動、低蛋白食療法、Ang II受容体拮抗薬(OLS)の運動耐容能、腎機能、腎組織障害、尿蛋白排泄量(UP)、骨代謝、骨格筋に対する影響を検討した。 【方法】WKYラットを手術し、5/6腎摘慢性腎不全モデルを作成した。ラットを、1)5/6腎摘+普通食群、2)5/6腎摘+運動+普通食群、3)5/6腎摘+低蛋白食群、4)5/6腎摘+運動+低蛋白食群、5)5/6腎摘+運動+低蛋白食+OLS群、6)偽手術群に分け、12週間にわたって治療した。運動は、トレッドミル装置を用いて、1日1回60分間ずつ、週に5日間、12週間にわたって行った。運動負荷開始前と開始後12週間にわたって、定期的に体重、摂食量、尿量、UP、運動負荷試験時の呼気ガス分析による運動耐容能を測定した。最終日に断頭採血し、血清クレアチニン(Scr)、血液尿素窒素(BUN)を測定した。心、大動脈、腎、大腿骨、ヒラメ筋、長趾伸筋を摘出し、組織学的に検討した。 【結果】慢性腎不全ラットのpeakVO_2は偽手術群に比較して有意に低値を示し、腎摘ラットにおける運動耐容能の低下が示唆された。また、腎摘ラットの走行速度20m/分でのVO_2はpeakVO_2の約80%であった。普通食群に比較して、低蛋白食群のUP、Scr、BUN、糸球体硬化指数(IGS)、腎皮質間質容積率(RIV)、普通食群+運動群のSBP、BUN、IGS、RIV、さらに、低蛋白食+運動群の糸球体ED-1発現細胞数は、各々有意に低値であった。普通食+運動群に比較して、低蛋白食+運動群のUP、BUN、IGS、RIVは有意に低値であった。特に、低蛋白食+運動+OLS群のUPとSBPは他の腎摘群の中で最も低値であった。慢性腎不全ラットの大腿骨の成長軟骨と海面骨部分には、石灰化障害が生じていた。 【結論】低蛋白食と運動単独による腎保護効果と、低蛋白食と運動の併用による腎保護効果の増強が示唆されると共に、低蛋白食、運動およびOLSの3者併用がUP減少効果、腎皮質間質増殖抑制効果を増強し、腎機能の指標である、ScrとBUNを増悪させることなく慢性腎不全モデルラットの高血圧を改善させた。以上より、進行性腎疾患における運動療法の有効性の機序を解明する重要な手がかりが得られた。
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