研究概要 |
本年度では,前年度の設計製作したマスタ・ハンドを改良し,一連の心理物理実験を実施して力覚・触覚の融合呈示がバーチャルリアリティのリアリティ度を向上させ,また三次元の作業にも対応するため,三次元マニピュレータの設計・製作も併せて実施することを目指して研究を進めた. 前年度では,1組の触覚呈示装置とマスタ・ハンドを設計・製作し,それらを以前の研究で既に製作した2次元マニピュレータシステムに実装して力覚と触覚の融合ディスプレイを完成した.また予備実験として2次元のペグ・イン・ホール実験を実施し,システムの動作特性を確認した.しかし,ピンの不揃による違和感や,アクチュエータ駆動系のノイズが起因となる不必要な振動が呈示面に発生するなどの問題があった.また,手首には1自由度しかないため,ペグがハンド内でヨー方向に回転する実験に限定されていた.ピッチ方向の回転についても触覚呈示が有効となるものと思われるので,その効果を確かめることができるように手首の自由度を増加させる必要があることがわかった. そこで本年度では,呈示面上でのピンの高さをそろえるためピンの組み立て精度が向上できるようにピンの組み立て構造を改良して製作した.また,ノイズによる振動を抑えるために,ノイズの発生原因を調査し電源回路の安定化を図ることによってノイズの低減に成功した.また,把持力発生用モータの摩擦力を低減するためにモータの選定とリンク長さの最適化を実施した.さらに,ペグの縦掴みと横掴みを可能とするように手首の自由度を追加するように設計変更も施した. 一方,リハビリテーション用ソフトウェアについては,触覚呈示方式並びに力呈示方式を改良して前年度より触覚と力覚の感覚の更新レートを向上するなど改良を進めた.ハードウェアについては,組み立て・調整を完了し,制御系の動作の不安定性改善をほぼ完了し,上述のソフトウェアと併せて仮想物体の把握実験など基本的な動作確認を現在進めている.
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