研究課題/領域番号 |
16300186
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
リハビリテーション科学・福祉工学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
牧山 清 日本大学, 医学部, 講師 (00139172)
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研究分担者 |
新美 成二 国際医療福祉大学, 言語聴覚センター, 教授 (00010273)
佐々木 健司 日本大学, 教授 (30119961)
木田 亮紀 日本大学, 教授 (00096801)
吉橋 秀貴 日本大学, 助手 (50328738)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 新声門 / 高速撮影 / 発声機能 / 無喉頭者 / 起声 / 正常喉頭 / 音源 / デジタル撮影 |
研究概要 |
平成16年度に導入した米国Kay社製高速デジタル撮影装置を用いて各種症例の音源観察を行い、解析した後に、より優れた発声機能を得るためのリハビリテーション計画を考案した。 正常者の音源解析では、正常声帯振動パターン、振動範囲を確認した。声帯の両側に病変を持つ声帯結節例解析では声帯振動の非周期性、不均一性などが確認できた。一側声帯の一部が硬くなる、声帯白板症や声帯早期癌例では声帯硬化部位の詳細な把握が可能なことがわかった。 喉頭摘出後の食道発声例への検査では空気の嚥下から新声門形成、新声門粘膜波動形成、発声終了までの詳細な観察と解析ができた。食道発声例の粘膜振動周期は不規則であり、その大きさも周期毎に変化した。その原因として次の点が考えられた。まず、下咽頭粘膜を振動させる空気流量が少ない。一定の流量で排出できない。下咽頭収縮筋の調節が一定に、かつ流量に対応してできない。これに対応するリハビリ案として、食道に溜め込む空気流量を増やす、胸腔内圧の調節能力を高める、下咽頭収縮筋の調節能力を高める、などが考えられた。 喉頭水平半切術を行い切除側に皮膚弁を移植した被験者では健常声帯の後方部分に粘膜波動を認めた。皮弁部分は低い周期で振動し振幅は小さかった。粘膜波動は観察されなかった。一方、健常声帯に一致した部分には振動がなく、その上部構造である披裂粘膜が振動する例もあった。この例では健常声帯と皮膚弁移植部分に囲まれた領域が広く、発声時にベルヌーイ効果が生じないためと考えられた。このような新声門形成は、手術後の喉頭形状に発声様式が加わって決定されると推測する。皮膚弁の健常声帯の高さと同じ部位に空気抵抗を作成すれば、この部分により大きな粘膜波動が生じると考える。したがって、喉頭半切例では発声法や呼気使用法のリハビリテーションに加えて、皮膚弁内に何らかの注入を行い、隆起を作成する方法が適していると推測された。
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