研究概要 |
本研究は、小児肥満の病態評価基準作成と肥満改善支援システム開発を目的にし,平成17年度は以下の研究を行った。なお,これらの研究は,岡山大学大学院医歯学総合研究科疫学研究倫理委員会の承認を得た上で行った。 1 内臓脂肪蓄積を基準とした小児肥満の病態評価基準の作成の研究 平成16年度から対象児を男女各25名づつ追加し,肥満男児238名,女児181名,計414名(平均年齢9.7,平均肥満度54.3%)を対象に,腹部CT測定した内蔵脂肪蓄積量(VFA)と臨床検査結果の関連性を検討した。VFAは,肝機能の指標であるALTと高い有意な正の相関関係(r=0.566,p<0.0001)示した。 2 小児肥満の病態とエネルギー代謝特性の関連性の研究 平成16年度から対象児を男女各25名づつ追加し,52名(平均年齢10.2歳,平均肥満度52.6%)を対象に,早朝空腹時のダグラスバッグ法による安静時代謝量を測定し,年齢または肥満度との関連性を検討した。安静時代謝量は1010.2±149.6kcal/m^2/dayであり,年齢との間には有意な負の相関関係(r=-0.441,p<0.02)があったが,肥満度との間には有意な相関関係はなかった。 3 小児肥満解消支援システムの開発の基礎研究 肥満小児15名(平均年齢12.6歳,平均肥満度62.5%)を対象に,肥満改善支援の一環として,生活習慣の改善を中心にした長期入院治療(6ヶ月以上)を行いその効果を検討した。入院前に比べ,6ヶ月目には肥満度が平均で約20%減少し,それに伴い肝機能検査値や血中脂質プロフィールが有意に改善された。
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