研究概要 |
本研究は、ソーシャルマーケティングの手法を組み込んだ身体活動量増進プログラムを開発し、地域での健康増進事業のモデルを構築しようとするものである。題材には申請者が一貫して推進してきた"ウォーキング"を用い、グループでの集団指導(地域)、印刷媒体(職域)、ビデオ媒体(一般)という3種のプロモーションによって、「どのような人がどのように身体活動量を増進するか」という点から各アプローチの効果を評価しようとしている。 本年度は、1)地域におけるグループ教室型プログラムの実施、2)職域における印刷媒体を用いたプログラム(プログラムの開発)、3)一般市民を対象としたビデオによるプロモーション(予備調査)、を行った。行動学的アプローチを中心にすえたグループ教室型プログラム参加者(計43名)と健康情報教室(座学)参加者(計19名)との比較から、戸外でのウォーキング実践の重要性が示唆された。また、職域における印刷媒体を用いたプログラムの実施結果(計65名が参加)からは、プリントメディアを用いた非対面式プログラムの限界が示唆された。ウォーキング推進ビデオによる認知効果に関する予備調査の結果から、このビデオがウォーキングに対する動機付けの準備性の向上に一定の効果をもたらしているものの、「無関心期」の対象者に対してはその効果が限定的であることが確認された。これらの結果を受けて、ビデオ普及プログラムの広告から行動の変容に至るまでの各段階の効果係数を推定し、本ビデオプロモーション実施時の人々の行動変容へのインパクトの予測モデルを構築した。また、来年度の研究の準備として、1)印刷教材と、2)ビデオ教材という二つの異なるメディアによる行動科学的アプローチの効果を検証するために、所沢市民49,600世帯を対象に新聞折込みにてチラシを配布してプログラム応募者を募り、その応募者の特徴を分析した。
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