研究概要 |
本研究は膝前十字靭帯損傷受傷の危険因子を解明し,それを元に予防に有効なトレーニングプログラムを作成し,その効果を評価することを目的としています.本年度の目標は,本プロジェクトの最も基礎となる危険因子の解明のために,フィールドワークを行いスポーツ選手の身体的特徴,運動能力などのデータを採取することでした.昨年度に行った予備調査によって決定した調査項目1)全身関節弛緩性,2)膝関節前方安定性,3)Q角,4)関節位置覚,5)大腿四頭筋・ハムストリング等尺性筋力,6)バランス機能,7)全身反応時間,8)動的下肢アライメントについて高校生スポーツ選手を対象としてデータ採取を行いました. これまでにバスケットボール選手男子106名,女子100例からデータを採取しました.いまだ追跡期間が短いため,現時点までに膝前十字靱帯断裂を受傷した対象は女子1名のみです.そのためこれらの調査項目について男女間による統計学的比較を行い,全身関節弛緩性,Q角,大腿四頭筋・ハムストリング等尺性筋力,動的膝関節アライメントで有意差を認めました.特に動的下肢アライメントの分析では,女子で有意にknee-inとなることが明らかとなり,膝前十字靱帯断裂の危険因子となりうる可能性が示唆されました. しかし,いまだ対象数および追跡期間が十分とはいえず,現時点では調査項目と前十字靭帯断裂発生との関連を確定するには至っていません.引き続きデータ採取および追跡調査を行う予定です.
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