研究課題/領域番号 |
16300204
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
スポーツ科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
征矢 英昭 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (50221346)
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研究分担者 |
櫻井 武 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (60251055)
木塚 朝博 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (30323281)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | オレキシン / 下腿骨格筋 / α運動ニューロン / 防衛反応 / 情動誘発性ストレス / ACTH / オレキシン受容体1型 / オレキシン受容体2型 |
研究概要 |
オレキシン(OX)はストレス時の防衛反応に関与すると考えられている。ストレス時には、脳の覚醒、HPA軸・交感神経系の活性化、血液循環反応の促進、α運動ニューロン(MN)の促通効果などの生理的反応が同時に起こるが、これらの反応は運動時の機能調節に関与する重要なシステムでもある。そこで、これらのうち、α運動神経に対する促通効果とHPA軸の活性化にOXが関与するかを調べた。下腿のヒラメ筋と長指伸筋のαMNにOX-1R(1型受容体)が発現するかを調べた結果、ほとんどのαMNにOX-1Rが発現していた。脊髄のOX-1Rを介してOXが促通効果に関与するかを解明するために、OX-1Rアンタゴニストを下腿筋αMNが局在する脊髄腰膨大部に前投与した上で浸水刺激を加えた結果、逃避遊泳運動量が低下した。また、同様のストレス下ではHPA軸の興奮を発する室傍核とOXが局在する外側野が活性化し、脳内にOX-2Rアンタゴニストを前投与した上で浸水刺激を加えると、下垂体からのACTH分泌が抑制された。したがって、防衛反応時にOXはαMN上のOX-1Rを介して促通効果を発揮し、OX-2Rを介してACTH分泌を促す可能性が示唆された。 次に、新生児期と思春期に血中OX濃度が高いこと、また、αMNと筋にOX受容体が発現することから、OXは神経性・液性因子として筋の発育・発達に影響すると仮説を立て、OXの遺伝的欠如が筋の発育・発達に与える影響を調べた。OX欠損マウスと野生型マウスの筋の重量を、10〜50週齢の間で調べた結果、欠損マウスの足底筋と長指伸筋に顕著な萎縮が見られた。次に、OXが培養筋芽細胞の増殖・分化に影響するかを調べた結果、OXは増殖を促進する可能性が示唆された。したがって、OX神経はαMNの促通効果とHPA軸の活性化を起こし、運動時の諸機能調節し、さらに、筋細胞の増殖と肥大に関与するようである。
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