研究課題/領域番号 |
16300213
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寒川 恒夫 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70179373)
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研究分担者 |
杉山 千鶴 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教授 (40216346)
石井 昌幸 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師 (60336914)
渡邉 昌史 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (00367096)
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キーワード | 民族スポーツ / 観光 / 東アジア |
研究概要 |
4年度計画の2年次に当たる本年度は、日本、韓国、中国、台湾における民族スポーツの観光化実態のフィールドワークに当てられた。民族スポーツの観光化を推進する主体として、近年政府や地方行政体が主要な役割を果たす傾向が指摘されているが、そうした典型例として韓国のソウル市が主催するソウル端午民俗祭は注目される。ソウル端午民俗祭は、本年度の2005年には旧暦5月5日に当たる6月11日〜12日の間、ソウル市内の南山韓屋村において開催された。南山韓屋村は韓国の伝統家屋を再現し、年間を通して諸種の韓国伝統文化を公演するスペースである。端午民俗祭では、菖蒲湯の洗髪など端午に因む習俗の体験のほか、民族舞踊である農楽のパフォーマンス、それに民族相撲のシルムや女性による伝統的ブランコなどが披露された。端午の民族スポーツはシルムとブランコによって構成するのが古い形であり、この祭りのパンフレットの表紙・裏表紙もシルムと女性ブランコで飾られているが、伝統武術のテッキョンや正月遊びのノルティギとユンノリまでもが同時に実施された。ここには、"端午"民俗祭とは称しながらも、元来は端午祭とは関わらない民族スポーツをもこの機会に総合的に展示したいとする主催者の意図が認められる。遊びや娯楽以外の伝統行事で別の節日のものを端午民俗祭に導入することのおこなわれないことを考慮すると、節日の境界を越境することが民族スポーツについて始まっている状況は、主催者であるソウル市の文化政策を考える上で主要な意味をもつことになる。同様の動向が他所においても進行しているかの検討は、今後の課題である。
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