研究課題
基盤研究(B)
運動トレーニングは、糖輸送体(GLUT4)の発現量及びミトコンドリア数を増加させる。GLUT4は、末梢組織での糖代謝の律速段階になっていて、GLUT4の増加は耐糖能を高め、糖尿病を予防する。ミニジーンGLUT4トランスジェニックマウスを用いて、運動によるGLUT4発現増加に関する遺伝子発現調節領域(シス・エレメント)と、それに結合する転写因子の同定を試みた。運動によるGLUT4発現増加のシスエレメントが-551と-442の間に存在していることを明らかにし、ゲルシフト法及びUV-クロスリンクにより、この部分に結合する2種類核内蛋白を見出し、それぞれの結合部位を同定した。更にNF1,MEF2にミューテーションを入れた-3KのGLUT4ミニジーンコンストラクトを作製し、トランスジェニックマウスを作製した。その結果、NF1結合部位がGLUT4の脂肪細胞での発現に必要であること,MEF2結合部位がGLUT4の心筋での発現に必要であることを明らかにした。一方、運動とは逆に、骨折に伴うギプス固定などにより足を動かせなくするとGLUT4量が減ることが知られている。同様にミューテーションを入れたGLUT4ミニジーントランスジェニックマウスを用いて、ギプスによる足固定や、神経切除によりGLUT4発現量が低下するのに必要な領域を見つけた。足固定に反応する領域が、足の筋肉を動かしたときと、動かせなくした時のGLUT4発現のONとOFFのスイッチの役割を果たしている可能性も考えられ、この結果を手がかりに詳細な検討を進め、運動により誘導される転写因子、運動に応答する転写調節領域、そこへ至る情報伝達経路を今後明らかにしていく。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
Journal of Biological Chemistry 279・39
ページ: 41114-41123
Biochem Biophys Res Commun 325・3
ページ: 812-818
Journal of Biological Chemistry 279
Biochem Biophys Res Commun 325