研究概要 |
老人医療費が毎年全国1,2位の高騰の問題を抱えている北海道においてその原因としてあげられている「社会的入院」には、高齢者の冬季の自立生活維持の厳しさとその表裏にある冬季の運動不足による自立生活機能の低下の問題が背景にある。本研究は豪雪地の住民に冬季の運動実施を奨励し、その効果を検討する介入研究「克雪・利雪・親雪パワーアッププラン」を以下により実施した。 (1)住民の生活現実に適った身体活動の運動強度の測定 本研究経費で購入した携帯用呼吸代謝測定装置を用いて、平成16年度に実施した高齢者の自宅の除雪の運動強度の測定を、平成18年2月末に札幌市内において男性3名、女性3名の被験者に対して実施した。 (2)在宅で実施できる簡易なトレーニング用具の試作 運動施設や指導者に恵まれない地域で、冬季の運動不足を補うためのトレーニング用具を、磁気センサーからのパルスを100円ショップで購入した万歩計を改造したカウンターに入力し、室内での歩行トレーニングでの周回数がモニターできる装置を原田電子と共同で試作した。さらに踏み台に装着した磁気センサーが昇降によりON, OFFとなる毎に昇った高さが積算されるステッピングトレーニング装置を試作した。 (3)大学生を対象として、冬季の身体活動である除雪に関する調査および体力測定を実施し、除雪ボランティアのような社会的プロダクティビティを発揮するために筋力、脚伸展パワーなどの体力要素が関連を持つことを明らかにした(平成18年3月の日本発育発達学会第4回大会で発表)。 (4)研究成果の公表 平成16、17年度に行った調査、測定結果をまとめ、日本体育学会、北海道体育学会、日本発育発達学会に発表し、北海道大学大学院教育学研究科紀要、日本雪工学会誌、著書などで公表した。
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