研究課題/領域番号 |
16300221
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山中 寛 鹿児島大学, 大学院・臨床心理学研究科, 教授 (60182581)
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研究分担者 |
梅野 正信 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (50203584)
服巻 豊 鹿児島大学, 大学院・臨床心理学研究科, 准教授 (60372801)
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キーワード | ストレスマネジメント教育 / 学級雰囲気 / いじめ被害 / いじめ加害 / PTSD / ソーシャルサポート / ストレス反応 |
研究概要 |
平成18年度研究成果として、鹿児島市内在住の中学生433名のデータを分析し、ソーシャルサポート得点が高い群は「いじめ被害」得点が低いことが明らかになった。「いじめ加害」得点についてはソーシャルサポート得点の影響は認められなかった。この結果より、個人によって知覚されるソーシャルサポートが高まるようにストレスマネジメント教育を試みることによって、いじめ被害が改善されると考えられた。この場合のソーシャルサポート得点は友人や家族などからサポートを得ることができているという主観的判断であり、学級では友人からのソーシャルサポートが受けやすいという学級雰囲気を感じていることが重要であると考えられる。 そこで、本年度は、中学校2年生1クラス33名(男子18名、女子15名)に対し、ストレス学習を介した他者理解を促進し、学級雰囲気を高めるように工夫したストレスマネジメント教育を3ケ月間に延べ9時間実施し、その効果を検討した。その結果、9時間のストレスマネジメント教育実施前後で以下のような効果が明らかになった。 (1)学級雰囲気が向上した。 (2)いじめ被害得点が減少した。 (3)いじめはいけないことであると判断する生徒が増えた。 さらに、中学1年生6クラス262名(男子18名、女子15名)中2クラスを対象に、2週間の期間中に、社会認識教育学的観点に立っていじめ判決分を活用した「法的コミュニケーション授業」(2時間)と、「ストレスマネジメン教育」(2時間)をプログラム化した授業を行って効果を検討したが、いじめ被害得点の減少は認められなかった。 以上のことより、ストレスマネジメント教育によるいじめ予防効果をあげるためには、短期的介入ではなく、中・長期的にストレスマネジメント教育を継続することが重要であることが明らかになった。
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