研究課題
基盤研究(B)
本研究は、全国組織のスポーツクラブ会員4700名(16-88歳、平均年齢54.8歳)の中高年の運動機能、生活自立、認知機能、抑鬱、社会参加の変化を追跡することにより、機能低下予防にふさわしい中高年の運動処方を確立することを目的としてスタートした。3年間にわたるデータ収集、解析の結果、現在以下の6つの成果を得ている。□疾病のない高齢者のQOL評価のために、下位尺度の内的一貫性と安定性をもつ活力度指標は有用であり、運動は加齢による活力度低下を防ぐ効果をもっている。□定期的な柔軟・矯正体操を長期間行うと加齢に伴う活力度の低下が抑制されることから、介護予防に貢献することが期待できる。□閉経前後の中高年女性が柔軟・矯正体操を定期的に行うと、肥満の是正、骨量増加、動脈硬化進行抑制、バランス能力の改善などの効果が得られる。□3か月〜1年間の運動(体操教室)は地域高齢者の介護予防に貢献しうる。□運動習慣のある高齢者において、過去の転倒歴転倒歴、年齢、つまずきの3つが将来の転倒を予測する因子であった。□定期的な運動は抗酸化活性の上昇を介して、動脈硬化予防効果を発揮する。本研究により中高年者および高齢者のQOLを評価する活力度指標を構築するに至り、その妥当性を検証することができた。本指標は、介護予防の前段階をスクリーニングしうることが期待され、事実運動は活力度の低下を防止した。その他、運動は肥満の是正、骨量増加、動脈硬化進行抑制など様々なベネフィットを生むことも科学的に検証された。本縦断調査研究は現在も継続中であり、本コホートのデータを今後さら集積し、新たな結果、成果を発表したいと考えている。
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