研究課題
基盤研究(B)
体重変動および肥満への移行についての定量的評価、さらにその要因の整理は十分になされているとはいえない。調査および測定によって取得した資料・試料の分析から、暫定的ではあるが以下の結果を得た。1.日常生活環境における温湿度のモニター調査:携帯型の温湿度計を用いて、日常生活で個人が曝露されている温湿度環境モニターでは、生活様態によって異なるものの、温・湿度が制御されている室内(人工的温度環境)での滞在時間が屋外の滞在時間より圧倒的に多い。屋外の滞在時間は1週間の平均値70分(範囲:1〜166分)であった。2.異なる温度環境下でのエネルギー消費量・身体活動量の測定:20〜40歳代の男性12名を対象とし、ヒューマン・カロリメーターの室温25℃で夏、冬に繰り返し測定を行った。基礎代謝量、睡眠時代謝量、座位安静時代謝量、いずれも夏期および冬期測定値に有意差は認められなかった。3.地域に居住する50歳以上の婦人の生活時間・身体活動量調査:秋季調査に参加した婦入17名について、加速時計(ライフコーダ)、生活活動記録、およびDLW法によって得られたエネルギー消費量、それぞれを比較した。DLWによるエネルギー消費量と比較し、生活活動記録から推定したエネルギー消費量はほぼ類似の結果が得られたが、ライフコーダによる推定値は過小評価となり、エネルギー消費量の高い者ほど差が大きいことが明らかとなった。4.肥満者を対象とする体重モニターと肥満管理効果の評価・検討:体重管理を必要とする外来患者の内、体重減少の急性期を過ぎた後もBMI>25であった肥満者258名を対象に3年間の後ろ向きコホートによる、月別(1月〜12月)の体重変動を分析した。体重維持群、増加群、減少群の3群について、体重の季節変動について分祈を行なったところ、3群ともわずかではあるが冬季に増加し、夏季に減少するパターンが見られた。なお、本研究は、国立健康・栄養研究所「人間を対象とする生物医学的研究に関する倫理委員会」の許可を得て実施した。