研究課題
平成16年度から18年度の3年研究計画の2年目として、研究実施計画に基づき研究を遂行し、以下に研究成果を要約する。(1)電気化学アレイ(ECA)チップを用いるリポ蛋白リパーゼ(LPL)変異検出に関するプロトコールの改良とその応用(池田):初年度に改良し、多種塩基変異同時検出(SMMD)法を開発し、その成果を、Nucleic Acids Res.32巻18号、e141(2004)に発表した。本年度(2年目)は、ECAチップを用いるLPL変異の検出法を発表(研究成果1)すると共にSMMD法を既存のSSCP法(成果2)と比較しながら、臨床への応用を試み、新規の2種類のLPL遺伝子変異の検出に成功した(成果3)。(2)高トリグリセリド(TG)血症を発症したLPL欠損ヘテロ接合体者の生活習慣の改善による高TG血症の治療(玉澤・池田):LPL欠損ヘテロ接合体者2例は、粗悪な生活習慣、特にインシュリンの抵抗性の為、高TG血症となっていることが判明した(成果4)。現在、対象者を栄養指導と運動療法により管理し、LPL酵素量、脂質代謝、糖質代謝等の変動をモニターし、データ集積を行なっている。対照として、LPL遺伝子正常でありながら極めて粗悪な生活習慣の為、高トリグリセリド血症を発症しているケースについてもデータ集積中である。(3)LPLゲノム情報に基づいた血清プロテアーゼ耐性LPL酸素分子の構築と治療薬への応用(高木・池田):LPL酵素分子は、N末ドメイン(酵素活性部位を含む)とC末ドメイン(基質結合部位を含む)からなる60kDaサイズの糖蛋白質である。LPLは、流血中のリボ蛋白-TGを分解する生理作用を行なっている。流血中にてLPLはプロテアーゼによって失活するが、初年度と本年度にて、30%程度のLPL酵素機能を維持したプロテアーゼ耐性LPL酵素分子を構築し、in vitroにてリポ蛋白-TGの水解能および37度にて6時間安定であることを明らかにした。現在、プロテアーゼ耐性LPL分子の高TG血症治療薬への応用を試みつつある。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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Diabetes Research and Clinical Practice
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