研究分担者 |
金澤 等 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50143128)
小原 奈津子 昭和女子大学, 大学院生活機構研究科, 教授 (90178301)
井上 真理 神戸大学, 発達教育学部, 助教授 (20294184)
賓 月珍 奈良女子大学, 人間文化研究所, 助手 (90343269)
|
研究概要 |
矢井田は高齢者用高機能性シーツの開発に際して、和紙や種類の異なる不織布を複合した複合不織布を作成するとともに、スパンレース不織布を主要部材とする4層の高機能不織布シーツを作成し、その物理的性質の測定や風合い測定を行い、また各構成要素が複合不織布の性能に及ぼす影響を調べた。その結果、ウエブを挿入することにより表面が滑らかになり、ヘタリ量が減少することや、砥粒加工を施すことにより吸水量が増加することなどを明らかにし、複合不織布が高齢者用シーツとして有効であるという基礎的データを得た。また、バギング試験により、分割繊維を用いたスパンレース/スパンボンド複合不織布が形態安定性に優れていることを見出した。金澤は合成繊維に高吸水性を付与するための反応条件を調べ、ポリプロピレン不織布のより容易でより安価な新しい吸水性化を検討した。その結果、放電処理による活性化反応と触媒を用いた高分子反応を組み合わせることにより、ポリプロピレン不織布はちり紙と同程度の速さで吸水し、自重の約10倍の吸水性をもつように改良された。小原は羊毛繊維を酸化,還元およびサクシニル化し,吸水性,吸湿性向上への効果および消臭性付与について検討した。その結果、還元/サクシニル化羊毛を電解透析で脱塩すれば吸湿性は低くなり,酸化処理は羊毛のアンモニアとホルムアルデヒドの収着を向上させることを明らかにした。井上は衛生用品の性能設計にかかわる主観評価を行うとともに、吸収体やバックシートも含めたおむつの表面特性や熱移動特性を測定した。その結果、主観評価の高い試料は平均摩擦係数、摩擦係数の平均偏差、熱損失の値が小さくなることを見出した。賓は高齢者や身障者に適切な被服素材には抗菌性や繊維表面の親水性、帯電防止などが重要であることに着目し、抗菌性のあるキトサンとPVAを複合化し、延伸した試料の表面特性を検討した。また、親水性と染色性を改善するため、PEに極性官能基を含有するエチレンメタクリレートを複合し、分子配向、表面構造などについて検討した。更に、PEなどに高い電気伝導度をもつカーボンナノチューブを混合することにより、帯電防止効果が得られることを確かめた。
|