研究概要 |
高ホモシステイン(Hcy)血症とインスリン(Ins)抵抗性は動脈硬化の危険因子として注目されている。本研究ではこれまで未検討であった日本人若年成人における血清葉酸濃度、血漿Hcy濃度の実態とIns抵抗性の関係を明らかにし、血中葉酸濃度およびホモシステイン濃度の改善とIns抵抗性の改善が同時に可能な食品摂取の組み合わせについて検討した。 (研究1)昨年度の対象数を増やすために追加調査を行った。方法:都内企業社員健診受診者20〜45歳の男性のうち生化学検査、血中ビタミン、Hcy、Ins抵抗性指標測定、MTHFR遺伝子多型判定と食事調査を行いデータ欠損のない60名を追加対象とした。昨年度調査対象と併せて108名を解析対象とし再解析を行った。 結果・考察:血中葉酸濃度は平均7.1ng/mLで基準値以下の者はなくHcy濃度は11.1nmol/mLで軽度高Hcy血症者が21%いた。Ins抵抗性の発現が疑われるHOMA-IR2.0以上の者は31%であった。20歳代でlog葉酸濃度とlogHOMA-IR値、多脂性食品が負相関を示した。都市部の若年成人男性では脂肪摂取の影響が示唆された。 (研究2)方法:女子大学生を対象に食品摂取の阻み合わせ例として和食と洋食(1850kcal,脂質エネルギー比25%VS32%,コレステロール200VS400mg,PUFA/SFA1.5VS1.0,葉酸500VS250μg)摂取群に分け1週間の食事介入試験を行った。 結果・考察:和食群は洋食群と比べてLDL-コレステロール,ALTが低下した。和食群、洋食群ともに血中葉酸濃度が増加し、Ins抵抗性指標の変化に差はなかった。和食は短期間に血中脂質濃度を低下させ、葉酸濃度を増加させる効果があることが明らかとなった。
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