研究概要 |
本研究の目的は,高等学校の数学において「離散数学を中心とした内容」について,新たな教材の開発およびその評価を行うことにある。 研究は,平成16年度から平成18年度の3年間にわたり,第1に,離散数学を中心とした内容において高等学校で学習可能な内容を選択・分析し,第2に,これらの内容に関する諸外国の教育課程や教科書の状況を分析し,第3に、数学者や高等学校の数学教師の意見の収集・分析し、第4に,これまでの成果を踏まえつつ,離散数学を中心とした内容の教材化を行い,第5に,それらの教材を教室において試行し,実際にどの程度の生徒に理解され,どの程度の生徒の興味や関心を高めるものになるかどうかを評価した。そこでは、離散数学を題材とした教科書の記述例をもとに,中学校・高等学校において授業実践をし,その結果をもとにその教科書の記述のあり方を検討した。さらに、離散数学を題材とした授業を,高等学校において実践をし,その評価のあり方を調べた。題材は,鳩の巣原理,離散グラフなどである。評価は,授業中の観察,適用問題のワークシートの分析,生徒の問題づくりの分析,質問紙調査による生徒の意識や態度の分析などで行なった。 その結果,高等学校における離散数学の導入を、数学教育の目的に沿って位置付け、高等学校の数学科の必履修科目と選択科目の両方で離散数学を扱うことができる可能性があることが示された。高等学校で指導できそうな離散数学の内容は,必履修科目では,離散グラフや鳩の巣原理,選択科目では,離散グラフとそのアルゴリズムや応用,鳩の巣原理や二値化などである。
|