研究課題/領域番号 |
16300259
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
小川 義和 国立科学博物館, 経営管理部, 室長 (60233433)
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研究分担者 |
佐々木 勝浩 国立科学博物館, 理工学研究部, 部長 (90089376)
岩崎 誠司 国立科学博物館, 学習推進部, 教育普及官 (90259995)
下條 隆嗣 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50014767)
渡辺 政隆 科学技術政策研究所, 上席研究官 (70356286)
小川 正賢 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80143139)
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キーワード | 科学コミュニケーション / 科学コミュニケーター / Public Understanding of Science / Public Awareness of Science / インタープリター / リエゾン / メンター / 科学系博物館と大学との連携 |
研究概要 |
本年度は科学コミュニケーションに関する先行研究を分析し、海外共同研究者と共同して科学コミュニケーターの養成に関する調査を行った。その結果以下のような知見が得られた。 (1)科学コミュニケーションは、科学に関する知識や文化が時間的、空間的に浸透していく過程であると考えられる。従来の科学理解増進(Public Understanding of Science)は、人々の科学的知識の理解を増進することを目的としている。これに対し、科学コミュニケーションは人々の科学に対する意識の向上(Public Awareness of Science)を目指すものであり、人々と科学との長期間にわたる関係性を持続させていくことが目的である。 (2)国立科学博物館における事例では、体験的な学習によって児童の科学博物館に対する好意的態度が形成されることが検証されている。そこでは「博物館職員との交流」と「実物の資料に触れること」という科学系博物館特有の学習資源との触れ合いがその好意的態度の形成に大きく関与していることが明らかになった。このように科学と人々を「つなぐ人材」の役割は重要である。それには、科学理解を増進するインタープリターの他に、異なるコミュニティーや機関間の連携を調整するリエゾンや、専門性と指導性を重視し、人々の自己実現を促すメンターとしての役割が考えられる。 (3)オーストラリア国立大学の科学意識向上センターと国立科学技術館の間で、実践的な科学コミュニケーター育成のプログラムが展開されている。このプログラムでは、学生がほぼ1年間科学技術館のアウトリーチ活動に従事するものであり、修了生はメディア、研究、教育部門等の幅広い分野で活躍している。このプログラムに参加して科学的な背景を持つ学生が一般の人々と交流することを通じて、将来の職業に対する自信を持つことにもつながっている。
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