研究課題/領域番号 |
16300266
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
南部 昌敏 上越教育大学, 学校教育総合研究センター, 教授 (90143627)
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研究分担者 |
浦野 弘 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50185089)
赤堀 正宜 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (00167826)
井上 久祥 上越教育大学, 学校教育総合研究センター, 助教授 (30274278)
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キーワード | ヴィジュアル・リテラシー / メディア・リテラシー / 学習プログラム / 映像視聴能力 / 映像制作能力 / 遠隔教員研修システム / 教員養成 / アクティブ・ビューイング |
研究概要 |
本年度は第2年次として、まず、教師を目指す大学生を対象に、教師としてのメディア・リテラシーを育成するプログラムを開発し、実験的に試行し、その有効性を明らかにした。まず、メディア・リテラシーについて、さまざまな定義がある中で、中橋(2003)による、「Aメディアを使いこなす」「Bメディアを理解する」「Cメディアの読解・解釈・鑑賞」「Dメディアを批判的に捉える」「E考えをメディアで表現する」「Fメディアでの対話とコミュニケーション」の6つの整理枠を援用した。メディア・リテラシー育成プログラムは、「映像制作・分析視聴プログラム」と「メディア分析・評価プログラム」で構成した。映像制作・分析視聴プログラムには、(1)映像メディアの制作・表現活動と、(2)映像メディアの分析的視聴を盛り込んだ。メディア分析・評価プログラムは、Weblogと学習支援サイトを用いて、オンライン上で、「メディア分析と評価」と「メディア・リテラシー教材の分析と評価」の課題について意見交換を行わせた。学習プログラムの評価に際し、中橋(2003)のメディア・リテラシー構成要素をもとに評価規準を作成し、それに基づき、メディア・リテラシー評価尺度を作成した。平成17年4月〜12月に、上越教育大学の1年生30名を対象に、実験的に試行した。メディア・リテラシー評価尺度を用いて、6つの構成要素と18の下位項目それぞれについて、学生の事前・中間1・中間2・事後得点平均で分散分析を行った。その結果、すべてにおいてテスト時期の主効果が有意であった(p<0.01)。 次に、ヴィジュアル・リテラシーの構成を検討するために、米国のボストン公共放送局(WGBH)を訪問し、就学前後の子どもを対象とした番組「Between the Lions」に焦点をあて,その番組制作担当者への聞き取り調査とそれを活用した小学校低学年における授業実践の参観と授業者への聞き取り調査をもとにして、その制作方針である「行動的視聴(Active Viewing)の促進」に関する基本的考え方と教育番組制作方法と授業活用方法に関する情報収集を行った。 以上の2つの実践を基にして、現職教員を対象とした研修支援システムをめざして、これまで開発した学習プログラムと教材コンテンツ、研究成果物(学会誌掲載論文、学会発表論文)、英国のメディア・リテラシー教育及び米国の公共放送局における「行動的視聴(Active Viewing)」に基づく番組制作の現状に関する訪問調査の成果等を、インタビュー結果の動画、写真、印刷物等をWeb化した。また、学校現場から、同期的、非同期的にアクセスできるような仕掛けと、参加者相互の意見交換と参加者からの質問に研究者が答えることのできる仕掛けを盛り込んだ遠隔教員研修支援システム(試作版)を構築した。
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