研究概要 |
本年度はその最終年度として、まず、中学生を対象としたビジュアル・リテラシーを育成するための学習プログラムの開発と評価を行った。これまで蓄積してきた映像視聴能力の育成と映像制作表現能力の育成に関する知見を総合して、中学生を対象としたビジュアル・リテラシーを育成するための学習プログラムを開発し、文部科学省指定研究開発学校である上越教育大学附属中学校における新開発教科「情報活用科」の一環として、4月から3ヶ月間、映像番組制作活動を中心とした学習プログラムを、9月から3ヶ月間、映像の分析視聴活動に焦点を当てた学習プログラムを実践し、制作された映像番組の分析、映像分析結果の分析、教師による観察評価及び生徒による自己評価によってその有効性が確かめられた。 次に、現職教員を対象としたビジュアル・リテラシー研修プログラムの研究実践を行った。教師が番組を利用して授業を設計・実施する場合には,言うまでもなく番組の目的,内容,構成などを理解しておかなくてはならない。そこで,筆者らが3年間にわたって開発してきた、A:「教師としての「映像視聴能力」を育成するための映像教材の構造に着目した分析的視聴方法(特に、(1)映像理解,映像構成理解をはかるために番組構成から視聴能力を測定する方法、(2)「意味するもの」を「映像カテゴリー」として分類し,「意味されたもの」を「理解要素」と位置付け,両者の関係に着目した分析的視聴方法)、B:映像の画面構成法(デクパージュ),ビデオカメラ操作法,映像の組み合わせ(モンタージュ)と構造的映像構城法,マルチメディア映像編集法で構成された「映像制作表現能力」を含めたビジュアル・リテラシーの育成を育成するための学習プログラムを用いて、現職教員を対象としたビジュアル・リテラシー研修プログラムを試み、その有効性が確かめられた。 さらに、これまで開発してきたヴィジュアル・リテラシーを育成するために理論と具体的方法及び小学生、中学生、大学生を対象とした学習プログラムをe-learningコンテンツ化し、LMSシステムと動画配信ストリーミングサーバを組み合わせた遠隔教員研修支援システムを構築した。
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