研究課題/領域番号 |
16300269
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木下 徹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (90177890)
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研究分担者 |
齋藤 洋典 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40178504)
杉浦 正利 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80216308)
大石 晴美 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 助教授 (50387479)
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キーワード | 光トポグラフィ / 脳科学 / 近赤外線 / 認知科学 / バイリンガル / 第2言語習得 / 応用言語学 / 脳機能測定 |
研究概要 |
本年度の当初の計画では、以下の3種類の広義の2言語使用者、すなわち、(1)臨界期以前に自然な環境で第二言語習得を始めた早期バイリンガル、(2)通常の意味での臨界期をこえてから習得を開始した後期バイリンガル、および、(3)フォーマルな教授を経験してきた学習者という3群の、言語課題遂行時の脳内血流量の変化の比較を通して、それら、複数の言語能力を有する人間の脳の言語中枢の構造と発達に関する段階仮説(母語、第二言語とも、習得が進むにつれて、言語情報処理は左脳の言語関連野に集中する)を検証する予定であった。この説についてはKrashen & Galloway(1978)およびObler(1981)では、「第二言語処理における右脳の働きは、習熟度が高いバイリンガルより低い者にはっきりと現れる」とされ、Paradis(1994)等でも支持されている。一方、Gordon, 1980 ; Piazza & Zatorre, 1981等では逆に熟達したバイリンガルでの右脳優位を報告し、Susanne(2002)などでは、半球の優位性を否定する報告も出ている。 実際には、本年度は当初、購入を予定していた光トポグラフィの後継機種が発売されたり、上位機種で全頭型のものがリリースされたり、また、脳波計の信号源の特定が本研究の課題の場合、当初の予想よりも困難度が大きいことが判明したこともあり、実験開始は予定よりある程度遅れた。そのためもあり、今年度は、上記の(2)、(3)の範疇に属すると思われる印欧語・非印欧語系の母語をもつ実験協力者約30人を、課題の種類、難易度、課題言語の種類等を変化させ、側頭部、前頭部を中心に測定し、データの収集を中心に行った。併せて、新しい可能性として、アイカメラによる視線移動追跡との同時計測も行った。
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