研究課題
本年度は、グループとしては、昨年度同様、全頭型近赤外線分光装置を用いて、二カ国語もしくはそれ以上の言語について、一定水準以上の能力を有する様々な言語背景を持った、大学生・大学院生を中心とした実験参加者に対して、L1とL2による言語課題遂行時における、言語関係部位を中心とする左側頭葉、前頭葉、右側頭葉、後頭葉での、脳血流変化を中心に測定した。本年度も第一義的研究課題は、母語と対象言語の相違度、熟達度と課題困難度の相対関係、および、多言語習得の開始年齢等が、言語の情報処理に及ぼす影響である。このうち、母語と対象言語の一致度については、英語をL2とした場合の、母語が印欧語族と非印欧語族の場合の、聴解課題遂行時における血流変化の異なるパターンの存在に関する証左を得つつある。この結果については、一部、平成18年度6月にオーストラリアのメルボルン大学にて開催されるLanguage Testing Research Colloquium(LTRC)にて、報告する予定である(発表採択決定済)。また、習得開始時期については、現時点では実験協力者の多数派は、いわゆる後期バイリンガルに属するが、比較的少数ではあるが、早期バイリンガルの協力者もあり、2カ国語習得の開始年齢の違いによる言語関連部位における影響に関しても、これまでの、他の手段による先行研究の仮説に関して検証中である。さらに、装置準備の都合で年度末になったが、マルティメディア教材を使用した、アイカメラによる視線軌跡時における、脳血流の同時計測も行った。この方は、現在、データ解析中である。その他、研究協力者による、漢字・および声調言語と左中・前頭回の働きに関する測定も行い、その成果もとりまとめつつある。また、特に漢字を中心とした文字については、研究分担者の一人である齋藤が多様な視点から関連した研究を行い、成果を上げている。
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朝倉漢字講座 第2巻 漢字のはたらき(前田・野村(編))(朝倉書店) 第2巻(印刷中)
Handbook of East Asian Psycholinguistics. (Nakayama, M., Shirai, Y., & Mazuka, R. (Eds.)) (Cambridge : Cambridge University Press.) Vol.2. Japanese.(In Press)
Psychologia (In Press)