研究概要 |
本研究の目的は,博物館における展示支援システムの新しいデザインとして「学習者の多様性と状況に個別に適応可能な支援システム」を実現することにある.これは,個人や状況に応じた多様な内容のコンテンツ作成技術と,センサ技術・映像投影技術および音場制御技術とを組み合わせることで, (1)ユーザ(子供)の識別及び立ち位置の認識を行い, (2)そのユーザに特化した内容の映像を呈示(影を除く)し, (3)そのユーザに特化した内容の音をユーザの周囲にだけ局所的に聴かせる ことを可能とするものである.特に既存の音声ガイドでは,端末の携帯を子供たちに強制することになり,負担や行動の束縛になることが多い.このため本研究では,(3)によって,ユーザがハンズフリーで対応できるシステムを目指す. 上記目的に向け,今年度は次の項目を実施した. 1)評価実験 今年度は停止した位置で音声コンテンツが正確に聞き取れているかどうかを検証した.音声コンテンツは前年度の実験と同じものにした.また前年度の実験では,人の音声と動物の鳴き声を一緒に使用したが,今回は聞き取りや理解度を別々に調査し,音声の種類の違いを検討した. 2)コンテンツ作成 上記評価実験のためのコンテンツの精緻化,プロトタイプ作成を行った.現場の教員の意見も取り入れてデザイン評価を行い,最終年度の実証実験に向けたコンテンツの絞り込みも併せて行った. 3)統合とプロトタイプの実験評価 ユーザ個別の音声情報を可能にする音場制御システムと,ユーザ識別及びその位置を特定するRFIDべ一ス位置識別システムとの統合実験を行い,それぞれの有効性を有機的に組み合わせた.接続には,全体を制御・統括するサーバを開発し,それを介して各システムが対等接続する方法を採用した.
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