研究概要 |
本研究の目的は,博物館における展示支援システムの新しいデザインとして「学習者の多様性と状況に個別に適応可能な支援システム」を実現することにある.個人や状況に応じた多様な内容のコンテンツ作成技術と,センサ技術・映像投影技術および音場制御技術とを組み合わせることで, (1)ユーザ(子供)の識別及び立ち位置の認識を行い, (2)そのユーザに特化した内容の映像を呈示し, (3)そのユーザに特化した内容の音をユーザの周囲にだけ局所的に聴かせる ことを可能とするものである.この目的に向け,今年度は次の項目を実施した. 1)評価実験兵庫県立博物館と神戸大学附属住吉小学校に御協力頂き,実際に博物館の場で展示物をお借りして評価実験を実施した.同小の皆さんには実験被験者になって頂いた.結果,これまで研究してきた局所的音声伝送やユーザ位置捕捉の技術と,実際の展示物との組合せとが理解度,興味度の向上に資することを定量的に確認できた. 2)映像投影技術の開発ユーザの位置補足技術と映像呈示技術とを組合せ,展示物や誘導の必要に応じ適切なタイミングで映像を呈示する技術を開発した.これについても兵庫県立博物館の御協力をいただき評価実験を実施した. 3)コンテンツ作成上記評価実験のためのコンテンツ作成を行った.上記のように児童生徒の皆さんを対象とするため,現場教員の意見もとり入れコンテンツの絞り込みと充実を図った. 4)統合とプロトタイプの実験評価これまで研究してきたユーザ位置捕捉技術と局所的音声伝送技術,映像投影技術等,各技術の統合は実験室レベルでは達成できた.当初は博物館での統合実験も実施予定であったが,現実の博物館では電磁環境の制約や空間配置の制約等があり,実際に博物館に導入して運用するためには,なお解決すべき技術課題が種々存在することが明らかとなった.
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