研究課題/領域番号 |
16300276
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20000086)
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研究分担者 |
向後 千春 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (00186610)
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (00184143)
西村 昭治 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (30207493)
齋藤 美穂 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90288043)
魚崎 祐子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (20386650)
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キーワード | 教授学習行動 / 小学校 / 中学校 / 挙手行動 / アンダーライニング / ノートテイキング |
研究概要 |
本年は、挙手行動のメカニズムを明らかにすることに着手した。先行研究においては、児童の自己効力感に依拠して挙手行動が規定されることが明らかになっている。しかし、現実の授業の観察等から我々は、自己効力はさることながら、むしろ教室文化への適応の結果として挙手行動は理解されると考えた。 まず、研究の着手に当たり、我々が行った最初の作業は、挙手行動に関して、自己効力感と学級文化への適応を測る質問紙の作成であった。この尺度を異なる二つの学校の小学校4年生から6年生までを対象に実施した。質問紙において児童の挙手行動の規定因を明らかにする一方で、実際の行動面での調査も行った。本年撮影した小学校1年生から6年生までの授業記録をもとに、発問ごとに手を挙げた児童を把握し、授業時間内の挙手行動の変化を分析した。また、児童の挙手行動は、児童のみで完結する行為ではなく授業内における教師や他児童との相互作用の結果として現れるものであると考えられる。そこで、児童の挙手行動に影響を及ぼす要因として教師の指名行動に着目し、授業時間内における教師の指名行動の分析も行った。質問紙調査,行動面での調査ともに、現在は、結果の分析中である。 また、我々はこの研究と同時に、先ほどあげた学級文化に研究を集中し、学級文化のメカニズムを明らかにする尺度の作成を試みた。まず昨年度、撮影を行った授業記録を第三者に視聴させ、そこに感じられた雰囲気を自由記述形式で回答してもらった。その回答をもとに、授業における雰囲気尺度の作成を行った。次に異なるクラスの授業を第三者がビデオで視聴し、感じられた雰囲気を、尺度を用いて回答してもらった。その結果を異なるクラス間同士で比較し、分析を行った。その結果、教師の教授行動が学級文化の形成に大きな影響を与えているとともに、授業中の児童の行動も学級文化の形成の規定因になっていることが明らかになった。
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