研究概要 |
第1年目の研究実績は以下のように概括できる.日本におけるに戦時科学動員の実態調査として,東京大学・大学史史料室所蔵の内田祥三文書を対象とし,戦時科学動員関連カ所を調査し,その大部分について,所蔵機関の了解のもと,マイクロフィルム化という形式で複写することができた.これら資料に関わる部分的,概括的な分析を,2004年11月30日に関連研究会において「文部省と戦時科学動員-本田弘人,内田祥三文書等から-」と題して発表した(発表内容の一部を雑誌に投稿する予定.2005年刊行予定).加えて,アメリカ公文書館に所蔵されている関連資料調査を,研究協力者1名とともに実施し,「戦時期にアメリカが日本の戦時科学動員に向けての動きをどの程度察知していたか」という課題に絞って調査を行ったが,この課題に関わる重要な資料は今回は発見できずに終わった.入手できた資料は,戦時期日本における電波科学関連へのアメリカ軍情報収集活動をしめす,資料群および「RADARA For Antiaircraft Artillery」という雑誌などであった.さらに,戦時中に科学動員に関わった文部官僚であった有光次郎の日記について,分析を行い,その一部は,上記の研究発表で報告した. 国内所蔵の図書を主とした文献調査および入手作業は,研究協力者と定期的に打合会を開催しながら調査法,情報入手のための工夫などの検討を継続し,現時点で,(1)現物入手分(複写も含む)が1500点,(2)文献情報のみの分が1700点,とする戦時科学史文献データをそろえることができた.ただし,国内外に所蔵されている戦時中の自然科学系,工学系雑誌については,現物との照合が不可欠な作業のため,充分な進展がない.
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