研究概要 |
第2年目の研究実績は以下のように概括できる.日本における戦時科学動員の実態調査としては,第1年目に入手した内田祥三文書(東京大学大学史史料室所蔵),アメリカ軍収集情報(アメリカ公文書館所蔵),購入した文献資料の分析,加えて第2年目に入手した井上匡四郎文書(國學院大學所蔵),美濃部洋次文書(東京大学図書館所蔵)の整理,一部の分析などをおこなった.その他,科研費では購入できなかった古書類は別途私費で購入し,分析をおこない,資料データベースに追加する作業を行った.また,第1年目から継続して行っている,国内で刊行されている「戦時科学史」関連の図書を中心とした「戦時科学史文献データ」一覧の作成作業についても,その内容の充実を図ってきた.最終年度においては最終報告をまとめるが,この報告書にはこうしたデータベースの成果の一部も掲載する予定である. 一方,分析成果および方法論の検討に関しては,「有光次郎日記に見る科学振興調査会-戦時科学史の一断面」(2005年6月,日本科学史学会年会,北海道),「Japanese Wartime Science Policy,1931-1945」(国際科学史会議,2005年7月,中国・北京),「戦時中における日本の科学者動員」(国際シンポジウム「20世紀における戦争・冷戦と科学・技術の展望」,2005年10月,広島),「最近の「戦時期研究」からみた戦時科学史-「1943年問題」解決をめざして-」(2006年1月,火ゼミ(科学史研究会),東工大)などで報告し,関連した論文,著書(分担執筆)として以下のものを発表した.「戦時中の日本における科学者動員」(分担執筆,広島大学総合科学部編『"戦争と科学"の諸相』(丸善,2006年2月).
|