研究課題
旧石器時代石器・縄文時代遺構埋土・縄文時代石器・擦文時代遺構埋土からのデンプン粒の検出作業を昨年度に引き続き行った。その成果は日本文化財科学会大会にて発表した。堅果類、根菜類を中心に在来食用植物の対照現生サンプル作成を継続し、さらに80件弱追加した。あらたにHorrocks氏により抽出プロトコルの発表があったためその有効性について検討している。縄文時代の出土例が知られている炭化食品の一例として群馬県行田大道北遺跡の炭化物を借用し、分析用試料を採取した。また土器付着炭化物として埼玉県石神貝塚出土土器からサンプリングを行った。いずれも来年度本格的に分析を行う。さらに残存物の変質・減少過程の解明をするため国立民族学博物館で実験石器の経過分析を半年間の予定で実施している。昨年度に引き続き食性分析の手がかりとなる炭化物のモデル生成実験をおこなった。18種類の異なる食材を縄文土器に見立てた素焼き土器で薪燃料により煮沸し水分がなくなるまで加熱した結果、それぞれ性状の異なる付着炭化物が生成した。一部を採取して炭素、窒素安定同位体分析をおこなっている。結果については18年度日本考古学協会総会で発表予定である。縄文時代において主たる食料となっていたと考えられ、旧石器時代も利用されていた可能性がある堅果類の加工法の一端を探るため、あく抜きをしていない堅果類と他の食材の混合比率を変えた材料を用意し石蒸しによる調理実験を行い官能検査によって可食化の可能性を検討した結果、新たにタンパク質が渋みの軽減に寄与することが明らかとなった。この成果の一部は日本調理科学会大会で発表した。縄文時代中期の石皿類の集成から各属性の分析を行った。